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2012年08月10日

カテゴリー:院長より

見果てぬ夢の地平を透視するものへ-82-

 先に私は、朔太郎の表現行為をたどっていくとジョージ・バークリーのことが想起されると述べた。これはかなり唐突な比較のようにも思えるが、私には象徴的なことなのである。物質的対象は、知覚されることによって存在するにすぎない、従って物質の存在などあり得ないのだという華麗な論法は、自己の観念のうちに厳然たる<近代>の夢を構築しようとした朔太郎の表現行為の行方をみごとに暗示しているように思われるのである。

[参考文献]
 朔太郎の作品は、新潮社版「萩原朔太郎全集」(1960)による。
<Ⅰ>
『萩原朔太郎』近代文学鑑賞講座 第十五巻 角川書店(1960)
「『月に吠える』の病理」松井好夫・上毛出版社出版局
“The Death of the Family”David Cooper(1971)
“OEdipe:mythe ou verite”Andre Green,in L’ARC
<Ⅱ>
萩原朔太郎研究 伊藤信吉編 思潮社 1966
萩原朔太郎研究 那珂太郎編 青土社 1974
『父・萩原朔太郎』萩原葉子 筑摩書房 1959
精神分裂に病むことを、現存在分析的現象学にこらしてみて、M・ボス 1974
Schizophrenia as Ideology Thowas J.Scheff 1970
The Medical Model and Mevtal Hospitalization Ewing Goffman 1971
Hection/Reflection Mary Bames 1972
Psycho analysis and Imperi alism Herman Kesselman 1972

(Ⅰ詩人論/朔太郎の内的世界【終】)

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