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墨岡通信

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2016年08月07日

カテゴリー:院長より

見果てぬ夢の地平を透視するものへ-139

だから、私はまず、何よりも私自身の生き方のために新しい表現論、新しい精神医学を考え出していかなければならないことを思っていた。私自身の生き方に触れて、既存の体系のどれを抽出してみても、私には人間対人間の(断じて対人関係論などというものではなく)心的現象を通してのかかわりあい方に満足できるものはなかったと言ってよい。

Fさんのカルテに記載された疾患名。

“Conversion Hysterie.”

彼女がはじめて私の勤務していた大学病院を受診したとき。

主訴。手足の硬直しびれをともなう発作。

経過。48年8月13日、友人が自分の部屋に泊りに来た時に急に気分が悪くなり、手足硬直、呼吸が荒くなり救急車でM病院に入院した。翌日には軽快退院し、郷里の高田市に帰り一週間休養した。地元の病院にて精査を受け、脳波異常と言われた。上京後、再び同様の発作があり、再びM病院に入院した。しかし硬直発作は改善されず、物を考えたり、トイレでいきんだりすると硬直発作を起す。M病院では、“過呼吸症候群”、“テタニー”などと考えていたが、現在では心理的なものを疑っている。発作時には、袋をかぶったり、フトンにもぐったりする、当病院にて精査のために来院し、入院となった。入院当時も朝から両下肢は硬直し、歩けない状態であった。

(Ⅳ私的表現考/表現の現象学 つづく・・・)

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