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墨岡通信

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2009年04月03日

カテゴリー:院長より

見果てぬ夢の地平を透視するものへ-27-

山本太郎が『死法』の語句を詩集に与えた意味もまた明らかであるだろう。そして、なおかつ追加すれば、作品中、『死法』は最も充実した(厳しい)位相に存在し、豊かな示唆をたくわえている。私達がいかにしてこの地平を切り崩すか、それが残されているはずだが、私の心は暗い。


言葉よ しばらくは黙せよ
俺は冒頭の一行を
いっきょに消去し
一ヶの聴道 一管の楽器にかわる
俺を静かにならしはじめるのは風
俺の沈黙が受胎する
わずかに 殺されるものの声だ
もはや<生きる>という措辞はいらぬ
<けれど>を消すとき俺は
ほぼ野放図もなく展開し
死の意図を超えるために
死者達の声を受容しはじめる   (「死法」)


(Ⅰ詩人論/山本太郎論終わり)

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